その昔、「それを幼い子供に飲ませると知能が遅れる」との噂が、実しやかに囁かれていた時代がありました。
ボク自身、未だにその真偽はわからないのですが、小さいころから現在までズッとそれを飲み続けています。
一方で、「それを飲むと夜眠れなくなる」という別の弊害(?)もあるようなのですが。
見方を変えると、「眠気を覚ましてくれる」という効能にもなるわけで、物事の良し悪しは視点を変えれば様々なのですが・・・
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もうお分かりですネ。
その正体とは、琥珀色の薫りとほろ苦い味わいが魅力の嗜好品「珈琲(以下コーヒー)」です。余談ですが、ボクは「珈琲」という漢字表記が大好きですが、これ以降は「コーヒー」表記とさせていただきます。
一見、悪い評判が目立つコーヒーですが、今ではすっかり私たちの食生活に溶け込んで、無くてはならない存在になっています。
そんな訳で、今回はボクが大好きなコーヒーにまつわるお話です。
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そもそも、コーヒーはチョコレートやケーキと同様に、従来から日本にあった飲食物ではないことはご承知の通りです。
そんなコーヒーですが、日本に初めてお目見えしたのは意外と古く、江戸時代。
そう、鎖国の時代にオランダ人によってもたらされたようです。しかしながら、この時代はまだまだ限られた人たちだけのもので、一般庶民まで広まらなかった訳です。
日本には昔から「お茶」の文化がありましたから、当然といえば当然のことですネ。
それが明治の時代になると、文明開化の下に舶来主義が広まり、文化人を中心にコーヒーを嗜好するという文化が広がって行きました。東京や神戸などに喫茶店、カフェができたのもこの時代からのようです。
とは云うものの、一般大衆にまで広まるのは、まだまだ先の話で、第二次世界大戦後になってようやく広まったようです。
戦時中は敵国の飲み物として禁止されていた時期もあったようで、コーヒーの輸入が本格的に再開されるのは50年代後半から60年代初めになってからです。
ボクは幼いころ横浜の山手や本牧に住んでいたので、米軍の「おこぼれ」の一つとしてコーヒーを知りましたが、冒頭でも触れたように「幼い子供に飲ませると知能が遅れる」という実しやかな理由から、原則飲ませてもらえませんでした。
それでも、たまには少量を飲ませてもらうことはあったのです。
叔母の家ではパーコレーターという珍しい器具でコーヒーを沸かしていましたが、その薫りは現代のドリップなどで淹れたのに比べ多少強めで、魅惑の薫りは部屋中に漂っていました。
ボクは大学時代に喫茶店でバイトをしていたので、サイホンやドリップなどでコーヒーを淹れることには、ある程度の自信と知識はありますが、あの時のパーコレーターの薫りはボクの記憶に強烈に刻まれています。いま、アマゾンなどでパーコレーターを探しても、当時と同じものはありませんネ。
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Juergen StriewskiによるPixabayからの画像 |
やがて、日本の社会も高度経済成長とともに食生活も豊かになり、コーヒーを飲む機会も次第に増え、コーヒー人口は拡大していったのですが、この辺りからコーヒー文化に異変が起こります。
インスタント・コーヒーの台頭です。
それは高度経済成長に於いては必然の出来事だったと思います。サラリーマンの生活は時間に追われるようになり、朝食をインスタント・コーヒーで簡単に済ませるようになったことが大きな要因です。こうしてインスタント・コーヒーは全盛期を迎えることになります。
ボクは毎朝食で、食パンにマーガリンをぬり、それを砂糖入りのコーヒーに浸して食べていました。当時はそれが一番おいしい食べ方だと思っていました。
これまで、その食べ方はボクの専売特許だと信じていたのですが、以前テレビの「小さな村の物語 イタリア」の番組で、イタリアの「おじいさん」が同じように食べているのを観て、
「敗けた!」と思いました。
今でも時折、当時を真似ることがありますが、いまは健康のことを考えて砂糖抜きにしているので味は半減です。イタリアのおじいさんは砂糖たっぷり入れてましたネ。
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最近では、イタリアの家庭には必ず一台はあるという「マキネッタ」というコーヒー器具を買って、新たなコーヒーの淹れ方で楽しんでいます。これも上記の「小さな村の物語 イタリア」の番組の影響ですが。
しかし、この「マキネッタ」という器具は本来、カプチーノという濃い目のコーヒーを少量楽しむものなので、どうしてもボクには濃すぎるため、お湯を足して通常のマグカップで飲んでいます。
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<マキネッタ> Clker-Free-Vector-ImagesによるPixabayからの画像 |
幼少のころから、「幼い子供にコーヒーを飲ませると知能が遅れる」と言われつつ、飲み続けてきたコーヒーですが、果たして「ボクの知能は人並みのレベルにあるのかどうか」定かではありませんが、今はその心配よりもコーヒーの利尿作用による「トイレが近い」頻尿現象の方が切実な問題になっている昨今です(笑)。
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StockSnapによるPixabayからの画像 |
以前なら、外出の際は必ず一軒は立ち寄った喫茶店ですが、ここ何年かは利尿作用のこともあってか、ほとんど行かなくなりました。笑い話じゃないですが、最近は街に出かけると喫茶店ではなく、トイレの場所のチェックが優先です(笑)。
喫茶店に入らなくなったお陰かどうかはわかりませんが、小遣いの節約や時間の節約になりましたが、あのコーヒーを飲みながらの30分ほどのひと時はボクにとっては、とっても建設的で貴重な時間だったので、心境は複雑です。
いま風にスタバでノマドワーカーを装う訳でもなく、1、2本のタバコを吸いながら、行き交う人たちをただただウォッチングして、とりとめもない時間を過ごしただけだったのですが、チョッとしたアイデアが閃いたこともありました。人生にはそんな無駄に思える時間も必要なのだと思います。
街に出れば、歩きながらスマホの画面を見つめる人たち、或いは電話をしている人たちをたくさん見かけます。電車に乗っていても、8割方の人がスマホを操作しています。
彼らこそそんな時間を持つべきだと思うのですが・・・
最後までお読みいただきありがとうございました。
from JDA